*** 2019年7月から転用後のフレッツ戻しや別の事業者への転用ができるようになりましたが、本記事は資料として公開時のまま残しております。また、戻せるとはいっても契約している事業者の承認が必要になるので、変更する時に注意が必要なことには変わりありません ***
昨年、NTT東西より「光コラボレーションモデル」の概要が発表され、各事業者のサービス開始が迫ってまいりました。
フレッツ光をそのまま使うより安くなるというのが売り文句ですが、そんな簡単な話ではありません。
まず理解していただきたいのは、「光コラボレーションモデル」とは、いわゆる「NTT東西によるフレッツ回線の卸売」です。
<通常のフレッツ契約>
NTT東西 →(小売)→ ユーザー
<光コラボレーションモデル>
NTT東西 →(卸売)→ 光コラボレーション事業者 →(小売)→ ユーザー
となります。
つまり、ユーザーの契約する相手先が、NTT東西ではなく、光コラボレーション事業者となるのです。
違いをざっくりと列挙してみます。
<通常のフレッツ契約>
・回線の問い合わせはNTT東西、料金の問い合わせはNTTファイナンス
・サービスについての責任はNTT東西
・回線も付加サービスもすべてNTT東西との契約になる
・光コラボレーション事業者への転用(工事不要で契約を光コラボ事業者に移転)が可能
<光コラボレーション事業者との契約>
・すべての問い合わせが光コラボレーション事業者
・サービスについての責任は光コラボレーション事業者
・付加サービスについては、光コラボレーション事業者との契約になる場合と、NTT東西との契約になる場合がある
・転用は一切不可能(すべて解約・新規になる)
特に問題になるのが、光コラボレーション事業者との契約では「転用は一切不可能」という部分です。
これは「NTT東西との契約を、光コラボレーション事業者に移す(転用する)ことは可能」だが、「光コラボレーション事業者との契約を、別の光コラボレーション事業者やNTT東西に移すことは不可能」ということです。
仮に、契約を移管した先の光コラボレーション事業者とトラブルがあったり、別の事業者に移ろうとした時に、それができずに解約・新規になってしまいます。
もちろん、転用(NTT東西からの契約移転)ではなく、新規契約の時点で光コラボレーション事業者と契約した場合も同じです。
また、卸売であることから、仮に光コラボレーション事業者が撤退することになった場合、ユーザーと光コラボレーション事業者の間で解決しなければならないのです。転用は不可能な上に、NTT東西はユーザーと契約しているわけではないので、NTT東西に契約が移管されるわけでもなんでもないわけです。
NTT東日本に問い合わせたところ、光コラボレーション事業者が撤退するケースについては想定しているが、契約については光コラボレーション事業者と話すようにという趣旨の回答をいただいております。
光コラボレーション事業者の都合で撤退する場合でも、契約をNTT東西に戻すことはできません。
また、もともとNTT東西のアナログやISDNで使用していた番号を番号ポータビリティでひかり電話に移行した場合であれば、それを再度アナログやISDNにすることができますが、最初からひかり電話で番号を取得した場合は、光コラボレーション事業者との契約を解除すると番号の継続利用ができなくなります。
「料金が安い」からといって安易に転用(切り替え)をすると自分の首を絞める可能性がありますので、十分にご注意ください。
個人的には、転用してもいい人は
・光コラボレーション事業者との契約を解除するときは、他通信事業者のサービス(eo光、auひかり等)に切り替えることができる
・光コラボレーション事業者との契約を解除するときは、フレッツが解約新規になって、電話はアナログで戻すことで納得できる
・転用先の光コラボレーション事業者と心中してもいい
・いずれにも該当しないが、光コラボレーション事業者との間で問題が起きた場合は自己責任で解決できる(電話番号が使えなくなる場合なども自己責任で納得できる)
このどれかを満たす場合に限られると考えております。
ソフトバンクやHi-Bitなどは甘いトークで勧誘を始めているようですが、リスクを十分理解していない方は絶対に変更しないようにしてください。目先の料金だけで考えると、デメリットが多すぎます。
光ギガ(Toppa!を運営している株式会社Hi-Bit=「あの」株式会社光通信(*1)の子会社)など、将来を任せるには不安すぎる(*2)サービスがいくつもある以上、光コラボレーション事業者との契約には慎重を期すべきであると言えます。営業トークはいいことしか言わないのですから、デメリットや将来性を十二分に検討し、リスクを負う価値があると判断できた場合のみ契約することにするべきです。
……とご説明してまいりましたが、図にするとこんな感じです。
(最初からひかり電話で番号を取得した場合については省略しております。あしからず)

<注記>
(*1) 強引な勧誘、嘘の勧誘トークなどで名を馳せ、一時は表舞台から消えたかに見えた企業ですが、現在は「光通信」の名前を隠し、一見無関係に見える子会社が別の看板で同じことを繰り返しています。Hi-Bitもそのグループの1社です。光通信については当ブログの別の記事でも少し触れています。
(*2) 「不安すぎる」というのは筆者の主観です。が、「ソフトバンク 勧誘」「Toppa! 勧誘」「Toppa! 被害」などのキーワードで大量に出てくる口コミの内容を見れば言いたいことはご理解いただけるのかなと考えています。実際、本記事の掲載は2015年2月11日ですが、Hi-Bitはそこから2週間程度で初回の行政指導を受け、さらに10ヶ月後には2度目の行政指導に至り、筆者の危惧が見事に的中しているという事実もあります。
<改訂履歴>
2016/8/29 ソフトバンクやHi-Bitがなぜ不安であるのか、について追記。あわせてHi-Bitの光コラボ商品名を「光ギガ」と修正しました。